病院であれば、やる氣が無いといえば、「氣うつ(きうつ)」と捉えて抗うつ剤が出てしまうというのが現状ではないでしょうか。
―― 漢方は「補う」という考え方なのですね。やる氣が出ないというのは、何かが足りないと考えるのですね。
志保先生:そうです。何かが足りないからやる氣が出ないんです。昔の根性論のように「それはやる氣が無いだけだ」で終わらせる話でもないと思います。
ご相談の方のように、家に帰ってきて寝てばかり、横になってばかりいるということは、漢方的には、やはり何かしら、病氣になっていないけれど病氣の手前の、未病の状態です。
もしかしたら、それは放っておくと、年配の人であれば、痴ほう症になりやすかったり、目まいや貧血になりやすかったりという前兆かもしれませんので、そこは氣を補ってあげるべきだと思います。
―― やる氣がおきないことを我慢したり、自分の怠け心だと思い込んだり、ちょっと疲れているだけだから、といって無理してしまうのは良くないのですね。
志保先生:良くないと思います。人間は無理しますと、大病になってしまう事もあります。
臓器がいろいろな悪いものをはね飛ばしているのも、漢方的には氣ですので、氣が足りなくなると、やはりいろいろな病気になりやすいと思います。