氣の「固摂(こせつ)作用」と言って、氣は水道の蛇口をキュっと閉めるような力を持っています。
しかし「氣虚(ききょ)」と言って、氣が足りていない状態では汗を止めることができません。それで氣漏れしたような状態で寝汗をかいていることが考えられます。
この方が更年期でホルモンバランスがくずれているのであれば、ホルモンバランスを補ってあげれば良いのですが、寝間着を変えなければならないほどひどく寝汗をかくような場合であれば、すごく体が虚(きょ)している、つまり弱っている場合が多いです。
例えば、大病で長いこと病氣をした後なども寝汗をたくさんかく人がいるのですが、そのような時は「氣虚(ききょ)」といって、本当に体が虚弱した状態の汗ですので、その場合は体を補ってあげないと、未病が病になることがあります。
寝汗のとらえ方
―― 寝汗にタイプはありますか?
志保先生:寝汗は大まかに言えば、先程もいった氣虚のタイプですね。サラサラの寝汗であると、もしかしたら体が冷えているかもしれません。
ベトベトとしたちょっと粘度が高いようなものであれば、体の中に熱感があることも考えられます。ベトベトとした寝汗をかくような方は少しのぼせるような状態や赤ら顔の状態が昼間にもあるかもしれません。
―― 西洋医学と漢方では、寝汗をそれぞれどう捉えるのですか?
志保先生:もし、この方が更年期ととらえて婦人科などに行けば、女性ホルモンなどのホルモン剤が出ると思います。それによって寝汗や昼間にかく変な汗がピタリと止まる方もいらっしゃいます。