―― 本日のご相談は「イライラして直ぐにかんしゃくを起こしてしまい、夫に精神科に行けばと言われました」というものです。
志保先生:はい。けっこう、このようなご相談は子育てをされている方に多いです。
イライラして子供さんにも旦那さんにも当たるので、旦那さんに「精神科に行けば」と言われ、その言葉にまたイライラしてしまうというような方がいらっしゃいますが、これは漢方で言うと「肝(かん)」の病と考えます。
肝はいつもお話するように、「疏泄(そせつ)」といって 、いろいろな臓器の働きを潤滑に調整するような作用や新陳代謝作用、また血流量の調節、精神や感情の調節もしています。
この肝の氣が鬱血(うっけつ)して滞ると、イライラして落ち着きが無くなってきます。逆に抑うつ状態になる方もいらっしゃいます。これは「肝氣鬱結(かんきうっけつ)」の状態です。他にも脇腹や腹部の張った感じや胸の張り、喉のつまり感を訴えられる方もいます。
肝の氣が滞るのはどうしてかというと、例えば、子育てなどをしている時期というのは、女性はすごく氣を消耗します。子育てしながら家事をし、子育てしながら仕事をして自分の体力以上にエネルギーを使ってしまうと、氣を消耗するがために滞ってしまいます。
食生活にも目を向けて
さらに食生活が乱れたり、忙しく手抜き料理が続いたりするとなお消耗は早くなります。材料が無いので回っていきません。
そのようなしんどさを、核家族が進む日本ですので、だれにも助けてもらえずに1人で頑張っているうちに、肝氣鬱血(かんきうっけつ)が長引いて激しいストレスに襲われると、熱を帯びて火の性質に変化し、より激しい状態が現れます。