―― 本日のご相談は、「夜勤が多くなってから、イライラすることが増えて困っています」というものです。
志保先生:はい。夜勤が多くなるということは、本当は寝ていなければならない夜に起きていて、昼間に寝なくてはならないということですよね。この朝に起きて夜は寝るというリズムが崩れている人は、病氣になる人が多いですよね。
これは、自然の摂理から外れているので仕方がないと思います。そこで、長寿の人にいろいろと聞いてみると、太陽とともに起きて、太陽が沈むとともに寝る生活です。
夜の8時くらいには寝ているというおじいちゃん、おばあちゃんが元氣だったりするように、免疫が活発に動き、免疫が調節される時間は、夜の10時から夜中の2時頃と言われています。
お肌がきれいになるゴールデンタイムというか、やはりその時間に安らいでいないで仕事をしているというのは、交感神経や副交感神経、自律神経のバランスが崩れやすいので、いろいろな病氣になりやすいということが考えられますよね。
お仕事であれば仕方がありませんが、このイライラというのは漢方でいう「肝(かん)」という臓器に密接に関係しています。
「肝は疏泄(そせつ)を司る」という言葉があるのですが、「疏泄(そせつ)」とは新陳代謝を基礎とした血流調整や月経調整、頭脳活動などのことです。
肝は新陳代謝をコントロールしているのですが、いろいろと悪いものを解毒して、血液や栄養などを体中に運搬する働きを担っています。
このコントロールが上手くいかず、栄養物質が体の隅々まで行き渡らなくて滞ってしまうと、脳にもいろいろなものが運ばれないということが考えられます。
また情緒の安定なども、肝が関係しています。そして、この疏泄(そせつ)が上手くいかなくなると滞りを生じ、「肝氣鬱結(かんきうっけつ)」というイライラした状態になるのです。