━━今回のご相談は「喘息があり風邪をひきやすく、とても困っています。」という方です。
志保先生:はい。まず、喘息があり風邪をひきやすいということですが、生まれ持って喘息を持っている場合は別として、風邪をひきやすいから喘息になるということだと思います。
風邪をひきやすいということは、免疫力が低下しているということですが、漢方でいうと、氣の作用が弱い「氣虚(ききょ)」という状態になります。氣が不足しているということですね。
「氣」については、以前ご説明したことがありますが、「氣」の作用は大きく分けて5つあります。
まず、1つ目ですが、氣の「推動作用(すいどうさよう)」といって、氣は血液や津液(しんえき)などの体を潤わせる液を循環させるような働きを持っています。
2つ目は、体温維持作用です。これは、「温煦作用(おんくさよう)」とも言いますが、体を温めて体温を正常に保つ働きを氣がつかさどっています。
3つ目は、「防御作用」といって、皮膚から入ってくる外邪(がいじゃ)、ウイルスなどが体内に入らないように防ぐ働きをしています。
4つ目ですが、「固摂作用(こせつさよう)」といって、血液や汗を止める、漏れ出すことを防ぐような働きを氣がつかさどっています。
そして、5つ目は、「気化作用」といって、食べたものを栄養に変えたり、おしっことして出したり、臓器に運んだりという作用も氣がつかさどっています。
それぞれの氣の働き
━━様々な働きがありますね。
志保先生:はい。風邪をひきやすいということは、身体の防御作用のある「衛氣(えいき)」が弱っていて、外から影響を受けやすい状態です。そして固摂作用(こせつさよう)といって閉める作用が弱いと、毛穴をキュッと締める力が弱く、毛穴が開きっぱなしの状態になります。そうすると外の影響を受けやすい、風が通るとすぐに寒さを感じる状態になります。
そこで、この足りない氣というものを補氣薬(ほきやく)で補ったり、代表的な漢方に「皮膚の上に屏風を立てる」というような名前の漢方があるのですが、そのようなもので氣を補って、まずは体調を崩さない活性力をつけるのが喘息に対する考え方です。
━━風邪をひきやすいから喘息になってしまう、というのが漢方の考え方なのですね。風邪をひかないようにするのが先、ということですね。
志保先生:はい。そうですね。それが喘息に対して自己力を付けるということです。そうすると毎日の生活が快適なものになると思いますし、もしかすると活性力をつけた末には、喘息のことを忘れてしまっているかもしれません。
━━漢方では補氣薬(ほきやく)を使うということですが、それには種類があるのですか?
志保先生:いろいろあります。例えば、「胃氣(いき)」といって胃腸の元氣が弱いため栄養分が回らないという場合は、胃腸の氣を補うものをもっていったりします。ご相談される方のどこの氣が弱っているのか、証(しょう)を調べさせてもらってから漢方をお出ししています。
━━漢方では、喘息になるような方の風邪はどのような薬で対応するのでしょうか?
志保先生:それは風邪の状態によって漢方薬が違ってきます。咳の状態や痰の状態によって漢方薬はいろいろと変わってきます。