2017/10/18

喘息で、雨が降ると調子が悪くなる気がします。どうしてでしょうか?

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━━今回は「喘息で、雨が降ると調子が悪くなる気がします。どうしてでしょうか?」というご相談です。

志保先生:はい。この方は雨が降ると調子が悪いのですね?基本的に、喘息持ちの方は、冷えると咳が出る方が多いです。これは「肺陽虚(はいようきょ)」というような状態です。体を温める力が無いために、外が寒いと体が冷えて咳が出るのだと漢方では考えられています。

これを説明するには、漢方でいう「氣(き)」というものをご説明しなければなりません。「氣」という言葉は、漢方用語でよく耳にすると思います。「氣·血·水(き·けつ·すい)」の「氣」です。

この「氣」というものはどのようなものかというと、漢方では体の生理機能になります。例えば「今日はやる氣が出ないな」、「あの人、元氣そうだ」というような「氣」です。

そして「氣」には、大まかにいうと「真氣」、「栄氣」、「衛氣」の3つがあり、主に口の働きに関係しています。

 

━━3種類あるんですね。

志保先生:はい。まず「真氣」。肺から呼吸して鼻から喉を通じて体内に取り入れたものを「天の氣」といいます。それと口から取り込んだ食べ物を消化吸収して元氣にする、これを「地の氣」といいます。

この「天の氣」と「地の氣」を合わせたものを「真氣」といいます。要するに、漢方でいう一般的な「氣」というものになります。

 

━━なるほど。

志保先生:次に「栄氣」ですが、食べたものを消化吸収して、胃で消化されたものを成分として体を元氣にするものになります。西洋医学でいう「栄養」になりますね。

そして「衛気」ですが、これは食べ物が消化吸収された「氣」ではあるのですが、それが血管の中ではなくて、脈外を通って体のすみずみを潤わせて、皮膚、表面にまでいく血のことになります。血管の中を通る栄養は「栄氣」、外を潤わせて皮膚の外にまであるような「氣」が「衛氣」となります。

要するに「衛氣」はオーラのようなもので、悪いものを寄せ付けないバリアの働きをします。「衛氣」が元氣だと、雨が降っても、寒さがきても体にバリアができて守ることができる、と漢方では考えられているということになります。

 

━━外側の「氣」という考え方ですね。

志保先生:はい。この「衛氣」が足りないと、雨が降ったら調子が悪い、風が吹いたら咳が出るということが起こりますので、漢方では「衛氣」を高めるようなものをもっていきます。

ちょっと漢方的な話なので難しくなりましたが、この「氣」という概念がないと、今回のご相談の説明ができないと思います。

 

状態に合わせた漢方の飲み方

 

━━すると喘息の方でも、痰がからまる方もいれば、渇いた咳がずっと出続ける方もいて、この相談の方の場合は雨が降ると調子が悪いということですが、漢方の見立てでは分類があるのですね。

志保先生:そうですね。ドラッグストアに行って、ただ喘息という病名と漢方の効能だけを見て買うというのはお勧めできません。

冷えると咳が出る、白い痰が出る、黄色い痰が出る、空咳が出る、全て漢方薬は異なります。なので、黄色い痰が出るのに白い痰に合わせた漢方薬を飲むと逆療法になってしまいますし、空咳の方が痰切りのような薬を飲むと、のどが渇くのでなお空咳が出てしまいます。漢方も状態に合わせてお飲みになることをお勧めします。

 

━━西洋医学では、喘息はたとえば吸入ステロイドのようなもので対応すると思うのですが、漢方薬との違いはどんなところにありますか?

志保先生:西洋医学では、根本治療ではなく、対症療法の薬しかないのが現状です。

漢方では表面的にしか治さない治療、対症療法を「表治(ひょうち)」といい、根本的に治すことを「本治(ほんち)」といいます。

漢方は、本治を軸に対症療法も行う感覚なのですが、残念ながら西洋医学における薬は、気管支拡張剤、吸入ステロイド、痰切りの薬という表治の対症療法しかないので、それを飲み続けて治るものではありません。残念なことに、ステロイドにも副作用がありますし、気管支拡張剤を飲み続けると、心臓肥大という副作用も出てきます。ですから、身体のためにも根治、本治を目指して漢方を併用されることも選択肢の一つにしても良いかもしれません。

 

━━雨が降ると調子が悪いというような方は、例えば吸入ステロイドというようなものだけで対応できない場合、漢方なら方法があるということですね。

志保先生:はい。そうですね。雨にも負けない、風にも負けない自己力を付けることができますので、心から元氣を実感できることを目的として漢方をお飲みになると良いと思います。

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