―― 本日のご相談は「寒暖差アレルギーがあります。薬で抑えられないのですが、どうすれば良いですか?」というものです。
志保先生:うちのお客様にも、何か寒いなと思ったら、クシャンクシャンとくしゃみをする方がいらっしゃいます。これは、未病のうちに対応しておくべきところですね。
これは、漢方でいう「衛氣(えいき)」というものが弱っている状態です。この衛氣というものは、皮膚の表面にバリアをはっているような氣で、暑くなると毛穴が開いて熱を発散させて汗を出す、寒くなると毛穴がキュっと閉まって体を温めるという作用をします。
暑さ寒さで毛穴が開いたり閉じたりしている作用は、衛氣がもっているのですが、この衛氣が弱ると、どちらかというと、毛穴がだらっと開きっぱなしの状態になり、風がスッと体の中に入ってきてしまいます。
そうすると、寒さによって刺激されてくしゃみが出たり鼻水が出たりします。結構、お年寄りの方によくみられる状態ですね。これは「衛氣虚(えいききょ)」といって、氣が足りない、毛穴を閉める力が足りないので、このような状態がおこってしまいます。
寒暖差アレルギーによるくしゃみ
アレルギーと言われた場合、病院で出る薬は、だいたい、抗ヒスタミンや、抗ロイコトリエン薬などのアレルギーを抑えるようなものだと思います。でも、この寒暖差によるアレルギーで出るくしゃみというものは、ヒスタミンが出てくしゃみが出るのではなくて、どちらかというと風に刺激されるものです。
寒い所から暖かい所に行ってくしゃみが出る人はあまりいないと思います。どちらかというと暖かい所から寒い所に行くと、くしゃみが出たり鼻水が出たりする人が多いと思います。
これは、暖かいところにいて緩んでいる毛穴をキュっと閉めることができないためです。なので、その場合は抗アレルギー薬を飲んでもおさまりません。
これは漢方的には未病ですので、この間に衛氣を補う漢方薬を続けて飲んで、体の外にあるバリア機能がしっかりしていないと、なかなか変化が見られないのではないかと思います。
毛穴をキュッと閉める
―― なるほど。衛氣(えいき)というのは漢方の考え方なのですか?