志保先生:ここで説明しなくてはならないのは、「七情(しちじょう)」というもので、「七情」が体にいろいろと関係をします。漢方では外の自然界と自分の体、体と自然は一体化しているという考え方があるのです。
例えば今でいえば、冬には風邪をひきやすいというのは外界からの影響を受けやすいからです。
「七情」という考え方、7つの感情という考え方は、喜ぶ、怒る、想う、憂う、悲しむ、恐れる、驚く、という7つの感情が、人間の体にいろいろと作用するという考え方です。
これはまた、感情によってかかわる臓器が違っています。例えば、分かりやすい例で言うと、「恐れ、驚き」というのは「腎(じん)」というところが司っています。
腎臓の腎と書きますが、腎は老化にとても関係する臓器です。老化すると「腎虚(じんきょ)」と言って腎が弱っていくのですが、そうすると想像しやすいもので言えば、おしっこが近くなったり、足腰がだるくなったりします。
おへそから下を腎(じん)が表すのですが、そこは「驚き、恐れ」を司ります。
私は、若い時はジェットコースターが大好きでキャーキャー言って乗ってましたが、今は怖くて乗れません。これは「腎虚(じんきょ)」なんです。「腎」が弱ってくることによって恐れが強くなった、足腰が弱くなって踏ん張りがきかなくなったということでもあるのです。
更年期の感情
―― なるほど。
志保先生:更年期の頃には、「悲しい、悲しい」というだけでなくて、「怖い、怖い」という人もいます。それは、「腎(じん)」が司っているからです。