―― 本日のご相談は「53歳の女性です。最近むくみで足がパンパンになってしまいます」というお悩みです。
志保先生:はい。足がむくむというのは、更年期に限らず、座りっぱなしの仕事や立ちっぱなしの仕事をしていたりする方からもよく受けるご相談です。
むくみというものを捉えた時に、中医学では大別すると、「脾(ひ)」の異常から生じたものと「腎(じん)」の異常から生じたもの、「心(しん)」の異常から生じたものと、大きく分けて3つが原因と考えます。
まず、脾(ひ)は水穀、水や食べ物の運搬を司っています。漢方的に脾は消化器系の働きのように捉えていただいたら良いと思います。
「脾は運化(うんか)を司(つかさど)る」という言葉があるのですが、この脾という所は、飲食物を消化したり、栄養分や水分を吸収したり、それを全身に配分したりする生理機能があります。
なので、脾の機能が低下すると、水分を上手に運ぶことができなくて、むくむということが考えられます。そのような時には、体の中の元気を助けるような漢方薬をもっていきます。
次に腎(じん)ですが、西洋医学的に考えても腎臓は尿の排出に関わっているので、イメージ的に分かりやすいですよね。
「腎は水を司る」いう言葉が中医学にはあるのですが、やはり、腎は水分の代謝を司っていまして、必要なものを再吸収して、いらないものを尿として出しますので、腎が弱った場合も尿の排出が悪くなってむくむということが考えられます。
その場合は、腎の働きを補う補腎薬でむくみを解消します。
そして心(しん)ですが、心がなぜむくみと関係あるの?と思うかもしれませんが、心臓が悪い人は、よく足の甲がパンパンにむくんだりします。