―― 本日のご相談は「3年間不妊治療を続けていますが妊娠せず、精神的にまいっています」というものです。
志保先生:このご相談の方のように、皆さん漢方薬局に来られる方は何かしら一杯の思いを抱えて、「何でできないのかしら…」と思っておいで下さる方が多いです。
あきらめた時に妊娠した、などという話を聞いた事があるかもしれません。要するに、氣が抜けた時に「あれっ」という感じで妊娠したという話は、そういう時は体が緩むのだろうと思います。
3年間妊娠しないというのは、医学的に妊娠しづらいと言われる40歳前後の方だけでなく、若い方でもそのような事はあります。体が緊張していると精子も卵も緊張すると思います。身体と心は密接に関係していますので、何々しなければならないとなると、体は緊張して氣が滞ってしまうことが考えられます。
赤ちゃんを授かるということ
私も今でこそそう思えるようになりましたが、店頭に立って間もない若い頃は、低温期と高温期のきれいな2層に分かれた文句のつけようのない体温表をお持ちになり、病院で診てもらっても男性にも女性に異常が無いという方がお客様の中にいまして、「何でできないのだろう」とすごく思ったものです。
けれど赤ちゃんというのは、たった1つの精子とたった1つの卵子が重なり合ってできる奇跡の結晶なのです。子供をつくるという分野は、私の中では神のみぞ知る分野だと思います。
1人の人間を人間がつくろうと思う事がおこがましい事だなと、段々と歳をとるとともにというか、お客様といろいろとお話をするうちに思えてきたことです。
そして、これは本当の話なのかは分かりませんが、赤ちゃんがお腹の中の記憶、胎内記憶を持って生まれてきてくるという話を聞いたことはありませんか?
お腹の中でお母さんはこんな事を話していたよ、などと生まれる前の胎内にいた時の記憶を子供が語る「うまれる」というドキュメンタリー映画を見た時にも感じたことです。職業柄、人の生死に触れることも多く、輪廻転生の本を読み漁ったこともありました。