2017/10/24

私は44歳で夫は55歳です。今から不妊治療は間に合うでしょうか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

━━今回は「私は44歳で夫は55歳です。子供が欲しいので今から不妊治療をしたいと思いますが、間に合うでしょうか?」というご相談です。

志保先生:はい。それはですね、医学的には女性は生理がある間は妊娠する確率があるということは事実です。60歳でギネスにのった方もいるようです。

ただ、前にもお話したかもしれませんが、40歳を過ぎた場合、30歳の時と比べて妊娠率はだいたい半分になります。ですから40歳を過ぎたら子供ができにくくなるという事実もあります。

 

後悔しない選択を

 

志保先生:ただ、私が思うに、それはどんな時もそうなのですが、やらなかったことの後悔ほど強いものはないと思います。だから「あの時やっておけば」、「あの時こうしておけば」と思うくらいなら、私はやっておくべきだと思います。人生は1回きりですからね。

なので、是非、トライしていただきたいと思います。

でも、そこで「あ~、できない、あ~、できない」と思ってしまうとストレスになりますから、「できたらラッキー」くらいの気持ちで子宝治療を始めてもらいたいと思っています。

 

━━考え方が大事ですね。

志保先生:はい。自然妊娠も目指されたら良いと思いますが、年齢的に、おそらく体外受精を勧められると思うんですよね。これは、ある西洋クリニックでのデータなのですが、体外受精(IVF)だけをした場合の妊娠率が1015%だとしたら、漢方+体外受精をした場合の妊娠率は36%でした。

ということは、漢方は赤ちゃんがやってきやすくするということですから、高年齢の方ほど漢方を取り入れて、赤ちゃんがやってきた時のために健康状態を整えていくと良いと思います。

 

━━そうですね。

志保先生:そして、不妊治療というのは女性の身体にかなり負担がかかります。ホルモン剤をたくさん服用したり、注射したりするわけですから、女性の体にはとても負担になる治療です。ですから、その治療の副作用のことも考えるという意味でも漢方をしっかりと取り入れたら良いと思います。

 

漢方による方法

 

━━具体的には、どのように漢方を取り入れていくと良いのでしょうか?

志保先生:はい。例えば、私がお勧めしているものは周期療法といって、女性の月経の周期に合わせて漢方薬を出す方法です。例えば、低温期というのは卵を作る時期、高温期は赤ちゃんを保つ時期なのですが、低温期には卵の材料になるような成分を補うような漢方を出します。

また注意が必要なのは、高齢になると流産しやすいことです。これは赤ちゃんを保つ力が無いんですね。これを漢方的にいうと「気虚(ききょ)」という状態なのですが、高温期は赤ちゃんを保つ時期ですから高温をずっと保ってもらわないといけません。

ですから、高温期には高温を保つ「補気薬」、気を補って赤ちゃんを保ってもらうような漢方を飲んでいただきます。そんな風に周期に合わせて漢方を飲んでいただく方法をとっています。

 

━━そういった漢方は、産婦人科で不妊治療をしながら摂取できるのですか?

志保先生:はい、大丈夫です。むしろ病院での治療の副作用を防止できて、とても体調良く過ごせると思います。

 

━━そうなのですね。一般に病院では不妊治療はどのように進められていくのでしょうか?

志保先生:はい。病院では、40歳過ぎであれば、最初から体外受精や人工授精をしましょうと勧められる病院もありますが、一般的には、まずタイミングをとるということで排卵の時期を予測してくれます。

またこの時期にホルモン検査をして、卵胞ホルモン、黄体ホルモンが出ているか?プロラクチンが高くないか?など、ホルモンがバランスよく分泌されているかどうかを調べます。

それと卵の大きさが何ミリあるのか?内膜症や筋腫がないかどうか?また内膜の厚さも測定してくれます。内膜はだいたい10ミリくらいないと着床しづらいのですが、歳をとると生理の量が減ってくると同時に、内膜が薄くなっている場合があります。

40歳を過ぎて内膜の厚さが7ミリや8ミリになると、やはり着床しにくい原因となります。そういう場合、漢方では内膜の成分を補う補血薬をお出ししお手伝いをします。

 

━━そういう面もあるのですね。

志保先生:そういうことを病院で検査した上で、まず進められるのはタイミング指導です。排卵しているタイミングでSEXして下さいということです。それでも赤ちゃんができなかったら次は人工授精ですね。この方法の中には、運動性の良い精子を取り出して膣の中に入れてあげるという方法があります。

その次が体外受精ですね。そして、顕微授精と精子と卵子を人工的に少しずつ近づけていくようステップアップしていくのが一般的な治療の流れです。

 

漢方で対処できないケース

 

そして、漢方ではどうにもならないのは、卵管が完全に詰まっている場合です。卵管が完全に詰まってしまうと、どんなに良い卵でも精子と卵子が出会うことができません。

なので、漢方を取り入れる前に、卵管が詰まっていないかどうかは診てもらうほうが良いですね。しかし、少しでも通っている、片方が通っているという場合は自然妊娠の可能性がありますよ。

あとはご主人様の方も診てもらうことですね。「無精子症」といって精子が1匹もいない方や、「クラインフェルター症候群」といって染色体異常で精子が1匹もいない方がいます。そんな場合は、いくらSEXしても妊娠できません。

赤ちゃんは二人でつくるもの、男性も協力して、病院で精子がいるかいないかを診てもらう必要がありますね。精子の成分を補う漢方をお出しすることができますので、精子が1匹でもいるかいないかは、漢方薬局に来る前に診てもらえたらと思います。

 

━━その点は大事ですね。

志保先生:そうですよね。でも精子がいなくても現代医学では、精子の素、精子細胞さえあれば、顕微授精をすることができます。精子が一匹もいなくても精子細胞さえあれば、また卵管が詰まっていても、漢方を飲む方が顕微授精や体外受精した場合のサポートになると思います。

 

━━ということは、漢方の助けを借りれば、可能性は残っているということですか?

志保先生:はい。残っているということです。

 

━━すると、44歳と55歳のカップルの方でも、チャレンジする甲斐はあるということですね。

志保先生:はい、チャレンジしてみて下さい。それは、やらない後悔よりやった後悔のほうが軽いと思いますから。できると信じてやってみて下さい。その方がチャレンジする限り、私は応援させていただきます。

関連記事

コメントを残す

*