―― 本日のご相談は「うつ病の治療をしていますが、なかなか良くならず不安です。」というものです。
志保先生:そうですね。もしかすると、うつ病の対応の仕方が間違っているかもしれません。
不安になることもうつ病の1つなのですが、うつ病も正しい対応をしないと良くなっていかないと私は思います。
例えば、すべての方というわけではないですが、うつ病になる方は「血虚(けっきょ)」といって血液が少ない方が多いです。
これは西洋医学でいう貧血とは概念が違うのですが、貧血というのはヘモグロビンや鉄分そのものが少ない、血液が薄いようなイメージですが、漢方でいうところの血虚(けっきょ)とは、その人が病氣を治すための血液の全体量が少ないと考えて下さい。
「心(しん)」は精神神経活動や自律神経の機能も司(つかさど)っていますが、心は血液がたっぷりないと正常に働きませんので、血液が少ないがために、不安感だとか、めまい、うつ状態になっている方が多いですね。この上に氣の働きが低下すると「氣血両虚(きけつりょうきょ)」といって、やる氣がないという状態が起こるのです。
対応の仕方を変えてみる
ところで、医薬品はほとんどそうなのですが、病院の抗うつ薬というのは、血中に乗って効くわけです。そうなったときに血虚状態のところに医薬品が乗りますと、やはり良く効いてしまいます。
そして、抗うつ薬の副作用として、ほとんどのものに眠氣があります。またふらつきという副作用がある現代薬も多いです。そのようなものが効きすぎる人は、朝起きても常に眠い、やる氣がしないまたはふらつく。こういう状態が薬のせいで残ってしまうということがあります。
そうすると、やる氣がない状態なのに、また朝からやる氣がなくなる、というような良くならない状態になって、それがまた不安になりますよね。そのような状態ですと、やはりもう1度、アプローチの仕方を考えてみてはと思います。
漢方は通院しながら取り入れられる
―― なかなか変わらないと、西洋医学ではどのような対応になるのでしょうか?