―― 本日のご相談は、50代の女性の方からで「夜中に目が覚めるくらいの、ひどい寝汗で困っています」というものです。
志保先生:はい。更年期の頃は皆さんいろいろな不調を訴えられます。
例えば、高血圧になるだけではなく、昨日は上がっていた血圧が今日は低いなどと、血圧が上がったり下がったりして不安定になることもあれば、コレステロールが上がったり、自分だけ顔からだらだらと汗をかいて恥ずかしいなど、いろいろな状態が起こります。
これは、女性ホルモンがなせるわざなんです。更年期がどうして起こるかなのですが、年齢とともに卵巣の働きが衰え、女性ホルモンである「エストロゲン」が急激に減少します。
脳の間脳の「視床下部(ししょうかぶ)」というところで自律神経の調節をしており、女性ホルモンや男性ホルモン、体温中枢、睡眠中枢、食欲中枢、性欲中枢など様々なバランスをとっています。
卵巣が働かなくなると、脳から「さぼっていないでもっと動きなさい」というような命令がどんどん出ます。そうすると、視床下部から出るホルモンである「FSH」という「卵胞刺激(らんぽうしげき)ホルモン」や「LH」という「黄体刺激(おうたいしげき)ホルモン」というホルモンがどんどん分泌されてしまいます。
これを簡単にイメージしやすいように言いますと、脳がオーバーヒートしてしまい自律神経の調節が出来なくなってしまう、というのが更年期に様々な不調が出る理由なのです。
ここには体温調節中枢もありますので、変な汗をかいたり、情動調節もしていますので情緒不安定になったりと不快な状態のオンパレードですが、更年期障害が出る人もいれば出ない人もいるわけですね。
この違いは何かと言えば、女性は閉経の遅い人もいますが必ず女性ホルモンは減っていきます。そこにストレスがかかるかかからないかが、更年期を発症するかしないかの違いとも言われています。
ご相談の方の場合は夜の寝汗ということですが、更年期障害により、体温調節がホルモンのバランスによって上手にできていないのが1つの原因として考えられます。
氣が足りていない場合も
あともう1つ原因として考えられるのは、汗の調節は漢方では、「氣(き)」というものが司(つかさど)っています。