━━今回のご相談は「赤ちゃんのアレルギーには、どんな原因が考えられますか?」というものです。
志保先生:はい。赤ちゃんのアレルギーは、腸管の免疫が弱いうちに、もしかしたらたくさんの食べ物が入ってしまったのが原因かもしれません。
腸と皮膚は裏表なんですね。東洋医学的には腸管の弱りが皮膚に出ると考えられます。鼻・肺・皮膚・大腸は経絡がつながっています。だから、腸の免疫が皮膚に大いに関わってきます。
━━皮膚に腸が関わっているというのは大事な点ですね。
志保先生:はい。赤ちゃんの場合は、乳児湿疹をアトピーやアレルギーと間違えて病名をつけられてしまい、ステロイドをぬる治療をして、症状を長引かせてしまうこともあると思います。
生まれたての赤ちゃんが、アレルギーだったということもあるでしょう。両親がアレルギーを持っていたら50%の確率でアレルギーの子供ができると言われています。また、片親がアレルギーであれば30%の確率でアレルギーの子供ができるといわれています。
ただ、私が考えるには、生まれたての赤ちゃんがアレルギーというのは、全てではありませんが、傾向的に赤ちゃんがお腹にいる間に、お母さんがとった食べ物が影響していると思います。
アレルゲンになりやすい食材
━━お母さんの食べたものですか。
志保先生:はい。個人的な意見ですが、アレルギーのない肌のきれいな子供を望むなら、妊娠の初期と後期には、アレルゲンになりやすい卵や牛乳を控えるほうが、アレルギーの子供はできにくいように思います。
そして、腸管の免疫が弱いうちに離乳食を始めてしまうと、例えば、卵の特に白身のたんぱく質などは、とても腸管で分解しにくいため、この消化不良のタンパク質が腸の負担になり皮膚に出てくることになりますので、皮膚の弱い子供の場合は、なるべく離乳食を遅めにすることをお勧めします。
━━離乳食のタイミングも大事なのですね。
志保先生:そうですね。あまり早いうちに消化の悪いたんぱく質などをたくさん与えすぎてしまうと、腸管の免疫ができてない幼児の場合は、皮膚に出てきやすいです。なにを食べても大丈夫な赤ちゃんもいれば、ちょっと食べただけでアレルギーが出てくる赤ちゃんもいるというのは、これは個体差です。
漢方的にいうと生まれ持っての体の強さ、弱さというのは「先天の精」といいます。この子は生まれ持って体が弱い、この子は生まれ持って体が丈夫というのは、私たちは生まれ持って出てきます。
これを生まれ出た後どのように補っていくかということ、これを「後天の精」といいます。食べる物や運動などによって「先天の精」を補うことにより、自分の体ができていくわけです。ですから、生まれ持って腸の弱い子というのは、アレルギーが出てきやすいと思っていただいた方がよいと思います。
━━生まれ持ったものを否定しても何も始まらないわけですね。
志保先生:そうです。始まらないですね。ただ、そこでアトピーと診断されると赤ちゃんでもステロイドがよく出されてしまうので、それをたっぷりとぬり続けてしまうと病気が長引いてしまう可能性もあります。ステロイドは免疫抑制剤といいまして、抑え込んで治そうとします。
基本、悪いものは便で出る、おしっこで出る、皮膚から出るなど、どこかから出るしかないので、抑え込んだものはそれを止めた時に、噴き出してくる人もいたり、ステロイドの副作用として皮膚が厚くなってゴワゴワ、ガサガサしてきたりします。
アレルギーの方でステロイドを塗り続けて老人の皮膚ようになっている方を見たことがあると思いますが、あれはステロイドによる副作用です。赤ちゃんの柔らかい肌にはとても吸収よく入っていきますので、ステロイドをぬり続けることはお勧めしません。
━━知らずにぬり続けてしまっている場合は、どのような悪影響が出てきてしまうのですか?
志保先生:例えば、皮膚が薄くなってすぐに出血しやすくなるということが副作用の1つにあります。
赤ちゃんがかゆくてちょっとかいただけで出血したりだとか、長くぬり続けていると皮膚が厚くなってゴワゴワになってきます。他にも、顔の周りにぬると、目の近くであれば白内障などになる可能性もあります。
私の経験上ですが、しっかり治してしまおうと思いステロイドをたくさん長くぬり続けているほど、治るまでに時間がかかるような気がします。身体は毒出ししなければいけないので、治すのにとても時間がかかります。