――　今回のご相談は「イライラしてなかなか寝付けません。」というお悩みです。

志保先生：はい。何か考え事があって「これが許せない！」と思って眠れないことが誰にでも１度はあるかもしれませんよね。ただ、それが長く続くようであれば、病気ではないかと思うこともありますよね。

寝られないとやはり次の朝がしんどいですし、体調に不調をきたすので、そこはどうにかして差し上げたいですね。

イライラして寝付けないというのは、もしかしたら漢方的には「心（しん）」の生理機能に関係している不眠のタイプかもしれません。

「心（しん）は神（しん）を蔵（ぞう）す」という言葉があるのですが、この心というのは、精神や意識、思考活動など、大脳の働きを意味します。中医学では、精神神経活動も心という生理機能の領域と考えられています。

例えば、精神的なショックや緊張があると、胸がキュッと締め付けられたり、ドキドキしたりすることがありますよね。狭心症や心筋梗塞の人の中には、不眠や不安感がある方がいらっしゃいます。
これが、心（しん）が神（しん）を司っている、蔵しているという所以だと思います。

――　なるほど。

ご相談の方は心臓が悪いというのではなくて、心の「虚症（きょしょう）」、心の疾患によって不眠になっているかもしれませんね。

心（しん）というのはたくさん潤っていなければなりません。心臓はたっぷり潤っていないと安心できないので不眠が起こってきます。