――今回のご相談は「秋になり喘息の発作が多くなっています。悪化しているのでしょうか?」というものです。
志保先生:はい。秋になると喘息の発作が出てきやすいということですが、どうしてもそういう方が多いと思います。喘息というのは寒くなったり冷たい風に当たったり、風邪をひいた時に再発が起こりやすいです。
この方だけではなくて、一般的に喘息の方は、やはり、寒さ、冷たさがくればひどくなりやすいと思います。この理由としては、漢方では「衛氣(えいき)」といって表皮を外界から守っている氣があります。
この衛氣というものは、水道の元栓をキュッと締めるように毛穴を閉めるようなこともつかさどっていますので、衛氣が無いと毛穴が開きっぱなしになります。すると冷たい風が皮膚表面から体の中まで入ってきます。そして体は冷えを感じて咳き込んだりします。冷えがストレスになります。
体温というのは1度下がると免疫力が37%下がるといわれていますので、冷たい風というものがストレスになり咳を起こす、アレルギー反応を起こして咳を起こすという状態になります。
ただ、寒くなっても咳が出ない、喘息の人でも今年は何だか調子が良くて咳が出ないという方は、この衛氣が充実していると思います。
衛気が充実していると、夏の間は暑くて毛穴が開いた状態になっていますが、冬になって寒くなると毛穴をキュッと締めることができるんですね。すると、体の冷たさが体の芯まで入ってこないために病氣になりにくい状態になります。
ですので、もし寒くなって調子が悪いという方は、衛氣を補うような漢方薬をちょっと寒くなる手前から飲んでおくと、いってみれば「転ばぬ先の杖」になると思います。
低体温への対策
――今は低体温の方が増えていると思うのですが、そのあたりの対策はありますか?
志保先生:そうですね。西洋医学ではあまり冷えることは問題にしないのですが、漢方では冷えるといろいろな病氣を引き起こすことが分かっていますので、温めるためのものがとても多いです。