それで特に日本漢方では「温病(うんびょう)」といって、冷えるといろいろな病氣を引き起こすという考えがありまして、温める生薬、温める漢方がそろっているんですね。体を温めて、まずは低体温に対応していくということも根本対策の1つになると思いますよ。
――低体温の原因はどんなことなのでしょうか?
志保先生:原因はいろいろありますが、例えば「陽虚(ようきょ)」といって代謝が悪くてエネルギー産生が悪くなって体温が上げられない場合や、「氣虚(ききょ)」といって胃腸の元氣が無いために食べたものをエネルギーに変えることができない場合があります。
あるいは「血虚(けっきょ)」といって血液が少ないために体の隅々まで血液を流すことができなくて末端が冷えてしまう場合など、いろいろな原因が低体温や冷えには考えられますよね。
喘息は冷えにも着目
――すると漢方では、喘息の方の低体温や冷えやすさにも目を向けるのですね。
志保先生:そうですね。喘息の治療をすることも大切ですが、まずは冷え対策をする、体が冷えないようにする対策をしていくことが予防になると思います。
今は温暖化で秋口でもだいぶ暖かくなっていますが、9月くらいから予防しておくことが良いと思います。
または、1年間を通して体温を温めたり氣力をつけておくこともできると思います。
漢方には上薬・中薬・下薬があり、上薬というのは久しく長く飲むと健康で長生きできますよという部類の薬なのですが、そのような健康に過ごすことを助けるようなものを1年間通して飲むことも、次の秋に喘息が出なかったなんてことにつながったりしますよ。