2018/01/16

家に帰ると何もする気がおきず、ずっと寝ています。これはうつですか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

―― 本日のご相談は「家に帰ると何もする気がおきず、ずっと寝ています。これはうつですか?」というものです。

志保先生:これは、お客様がご相談にいらっしゃるといつも思うのですが、うつの定義というのはとても難しいと思います。

日本うつ病学会治療での診断基準では、「1、抑うつ気分 2.興味または喜びの喪失のうちの少なくとも1つある。さらに、食欲減退、不眠、睡眠過多、気力減退、無価値感、思考力減退、自殺念慮の症状を合わせて5つ以上が認められる。これらの症状が1日中、ほとんど毎日ある」等々とありますが、ここまででない方も「うつかも?」と思われていらっしゃる方も多かったり、抗うつ剤を服用されている方も多いと思います。

これはすごく難しい定義で、例えば、人間ですから落ち込むことはありますし、何かちょっとやる氣が無くなったりという浮き沈みは、生活しているかぎりは、どなたにもあると思うんですよね。

ずっとテンションが上がりっぱなしで暮らしている人というのは、一握りではないでしょうか。

ですから、どこからがうつなのか、ということがあると思うのですが、私は、もし家に帰ってやる氣がしなくても、その人が朝ちゃんと起きられて会社に行って仕事ができるのであれば、うつまではいかないのではないか、と思います。実際うつ学会の基準でも1日中とありますので。

しかし、例えば、家庭の主婦で、働きに行ったはいいものの、帰ってきてぐったりして、家事も何も出来ず、家族に迷惑をかけてしまう、というのであれば、その人は漢方的には「氣虚(ききょ)」といって、元氣が足りないような状態です。

そのような時には、漢方には「補氣薬(ほきやく)」といって、氣を補う、エネルギーを補う、生命活動のエネルギーを補う漢方薬がたくさんありますので、毎日1日中元氣でいる、毎日1日中エネルギッシュでいることができると思います。

なので、私が思うには、猫も杓子もうつ病という病名を付けすぎだと思います。

例えば、特に落ち込みやすいという人は、すぐに「自分はうつではないか」とおっしゃるのですが、私が聞いても、「そのような嫌な事があったら、私でも落ち込むな」と思うんですよね。

1 2 3 4

関連記事