自律神経の安定や、血管を柔軟に保ったり、血圧の調整にも女性ホルモンが関わっていますので、女性ホルモンが減ることによって、いろいろな状態が起こっているのではないかと思います。
血圧が上下する時の漢方の対応
―― 血圧が上がったり下がったりする時、漢方ではどのように対応できますか?
志保先生:私が、漢方は素晴らしいと思う大きな理由の1つは、体の「恒常性維持機能(こうじょうせいいじきのう)」をサポートしてくれることです。
簡単に言うと、行き過ぎないんです。例えば、血圧が上がった時には「駆瘀血剤(くおけつざい)」といって血液の滞りを流すような漢方薬を持っていきます。そのような漢方薬は、瘀血(おけつ)症状のある低血圧の人がお飲みになっても大丈夫です。
ちょうど良いところにもっていってくれるというか、下げ過ぎることが無いので、安心して飲めると思います。
例えば、コレステロールを下げることも女性ホルモンが関係していますので、血圧がポンと上がることの原因として、更年期の頃は歳とともに血管の弾力が無くなってきて、動脈硬化を起こしてくることも考えられます。
そうなると、ちょっとしたことで血圧がポンと上がるようなことが起こり得ますね。また自律神経の乱れによっても血圧は不安定になります。
すると、動脈硬化は漢方では「瘀血(おけつ)」、つまり血液の滞(とどこお)りと考えるのですが、「駆瘀血剤(くおけつざい)」といって「瘀血」を取り除くような、お掃除するような漢方薬を持っていくことによって、血管の状態に働きかけることができます。
血圧の数値だけを見るのではなく、血管の中を考える、そういうところが漢方の良いところだと思いますよ。