―― 本日のご相談は「うつ病と診断されましたが、家族に理解してもらえません」というものです。
志保先生:はい。見た感じでは、なかなか理解してもらいにくい病氣というものがありますよね。例えば、皮膚病などであれば皮膚にバッと症状が出ているので、見ればすぐに分かりますが、痛みのような病氣は外から見ても分からないので、痛くてつらいと言っても周囲に理解してもらえませんよね。
うつ病もパッと見ただけでは「怠けているのでは?」と誤解されてしまうところがありますので、理解してもらえないことがとても多いと思います。
例えば、戦後をタフに生きてきた年代の親御さんですと、うつという病氣について、根性が無いだけだ、と言う方もいるかもしれません。なので、特にうつという病氣を理解してもらうことはとても難しいですね。
しかし、理解してもらおうと思っても理解してもらえないと、なお落ち込むと思います。なので、うつ病というのは、理解してもらえる人にご相談するなり、お伝えするべきだと思います。
たとえば、お母様とお父様がいて、お母様はとても心配している。でもお父様に話をしてもまったく理解できないという状況があって、お母様と息子さんが一緒に漢方堂にいらっしゃるようなこともあります。
なので、理解してくれない相手にこちらを向いてもらおうとするのではなくて、やはり理解してくれる人に病氣の相談をして、解決する方法を取っていかれると良いと思います。
他人の意見はなかなか変えられないので、理解してもらえる人をそばに置くほうが良いと思います。
―― ご相談の方はご家族の中に理解して下さらない方がいて、苦しまれているようです。
志保先生:そうですね。でも、理解してもらえない人に理解してもらおうと思っても、ゆっくりと話を聞いてくれる人であればよいのですが、そうでない場合もありますよね。