―― 本日のご相談は「梅雨の時期になると、めまいや吐き気がひどくなってしまいます。」というものです。
志保先生:梅雨の時期というのは「湿邪(しつじゃ)」というものが関係する病氣が増えます。
漢方には、「整体観」という考えがあります。人間は自然とともに暮らしている、自然界の影響を受ける。そのため、気象の状態が病気の原因になるという考え方があります。
気象の病氣の発生原因は、「六淫(ろくいん)」といって6つの原因があります。今の梅雨の時期に影響があるのは「湿邪(しつじゃ)」です。
秋の乾燥する時期には「燥邪(そうじゃ)」。夏の暑い時期には「暑邪(しょじゃ)」、さらに熱い「火邪(ひじゃ)」。冬の時期には「寒邪(かんじゃ)」、春には「風邪(ふうじゃ)」が病気の原因に多いと考えられています。
胃腸との関係
ご相談の方は、梅雨の時期にということですから、「湿邪(しつじゃ)」が原因となって、めまいや吐き気を起こしているのではないかと思われます。
湿邪が原因となってそのような不調を起こす人は、大体、「脾虚(ひきょ)」といって脾胃(ひい)が弱い方、胃腸が弱い方が多いです。
「脾(ひ)」は消化器系を表します。そして、この脾ですが、「脾は燥(そう)を好み、湿(しつ)を嫌う」という性質を持っています。
湿邪については、梅雨の時期は、外界から蒸し暑い湿気が入ってきますので、もともと胃腸が弱くて、湿気が溜まりやすいような体質の方は、食欲不振になったり、吐き気がしたり、お腹が張った感じがしたり、下痢をするような人もいます。