まあ、だいたい、病院に行って病名が付けられないものは「自律神経失調症」や「うつ」というような病名になり薬が出るという傾向ですね。漢方とはとらえ方が違うところですよね。
―― 漢方でいう「血虚(けっきょ)」という状態と貧血というのは、どのように違うのですか?
志保先生:貧血というのは、例えば、鉄やヘモグロビンの数値が検査で出てきます。このようなものが正常値より少ない。貧血はイメージで言うと、全体的に血液が薄いと思って下さい。
そして、漢方で言う「血虚(けっきょ)」というのは、イメージですが、その人の元氣を保つための血液が少ないと思って下さい。なので、実質的な貧血とは違うんですよね。
漢方堂には血流計というものがあって、心臓から血液が行って帰ってという事がグラフのようなもので出てくるのですが、それで計ると、血液が少ないと血流計の棒グラフは、チョロチョロとしか線が出てこないですね。
その人は貧血というわけではないですけれども、漢方的には「血虚(けっきょ)」の状態の方が多いのです。
―― なるほど。それは、漢方のアプローチで初めて分かることですね。
志保先生:そうですね。西洋医学では「血虚(けっきょ)」という考え方が無いので、貧血とちゃんと数値に出てこないと病気という扱いはされないです。でも、そうなってから初めて対応するのでは、私は遅いと思います。
例えば肝臓は「沈黙の臓器」と言われるくらいに我慢強い臓器ですので、肝臓の数値などで「GOT」や「GPT」が上がってきた時には、治すのにすごく手間もお金もかかりますが、そこに至るまでに、肝臓に血が足りなくて何となくイライラしたり、「血虚(けっきょ)」のような体の不調があるはずなんですね。