ただ、残業や重圧という環境は変わらないと思いますので、人生をもう1度、振り返ってみるのも、1つの方法ではないかなと思います。
―― 原因として体と心の両方の問題がかかわっているのですね。
志保先生:そうですね。アンバランスになっているのだと思いますよ。
疲れに漢方の対応
―― このような場合、漢方ではどのような対応が出来るでしょうか?
志保先生:きっと、体は疲れていると思います。たくさん仕事をしたり、何かを一生懸命すると「氣虚(ききょ)」といって、氣は必ず消耗していきます。
脳でいろいろと考えると血液も消耗していきますので「氣血両虚(きけつりょうきょ)」という状態になって、氣も血液も足りていない状態になっているのはないかと思います。
そのような時は「補氣薬(ほきやく)」といって、少しでも重圧に耐えられる体、残業に耐えられる体を作るようなお手伝いをさせていただきたいと思います。
そうすると、お客様の中でもそのような漢方を飲むと「1週間続けて働けなかったのに、働けるようになった」などとおっしゃってくれる方もいます。
体をぼかす治療ではなくて、体を動かすエネルギーを補う漢方薬があるというのが、漢方の特徴ではないかと思います。
未病のうちに見直そう
泣いてばかりという状態は、うつとは言わないまでも「未病(みびょう)」というまだ病氣になる手前だと思いますので、氣を補うような漢方を飲みながら、それでもどうしても仕事が耐えられなければ、立ち止まって人生を考えてみるのもありだと思います。