先程も言いましたが、朝と夜のリズムが逆転したり、ストレスがとても多いとか、飲食の不摂生などのようなことがたくさん溜まると、肝の疏泄が上手くいかなくなってイライラが強く出てくるということが考えられますよね。
そんな時に漢方では、鬱結(うっけつ)した肝氣を巡らせる「疏肝解鬱(そかんげうつ)」といって、肝の疏泄(そせつ)を良くして氣の流れに働きかけるような漢方薬をもっていって、スッキリさせるようなことができますよ。
―― ご相談の方の夜勤という状況が変えられないとしたら、日常生活で何かできることはありますか?
志保先生:まず、夜に仕事をすると昼に寝なければなりませんが、昼間に寝る時の状態を、遮光カーテンをするだとか、真っ暗にして夜に近いようにしてなるべく脳が休める状態にして寝るということは大事ですね。
イライラする時は、氣を巡らす漢方薬もそのような漢草が入っているのですが、ハッカなどの香りの良いものを取り入れることです。
匂いの良いものはリラックスできる雰囲気を作ることができますので、アロマのポットで、ラベンダーなどを焚いてお休みになるなど、香りの良いものを生活の中に取り入れてみるのも1つの方法だと思います。
そして、夜勤をするということは、普通の人よりも体力が必要だと思います。なので、肝(かん)の氣を流すにしても、「氣虚(ききょ)」といって氣が足りない元氣不足の状態ですと、流れていかなかったり、血液が足りなくても流れていきません。
要するに、細い小川にちょろちょろとしかお水が流れていない状態だと巡りがとても悪いでしょう。そして、この氣というものは、血液と共に流れるところがありますので、材料が少ないと流れていきません。
たくさん消耗するなら消耗するなりに、氣や血液を補ったうえで氣のめぐりに働きかけるような、先程言った「疏肝解鬱(そかんげうつ)」するような漢方を、生活の中に取り入れてみられるのも良いと思いますよ。